問題
本文中の下線④について、拠点VのL3SWにこの経路情報が届いたときのOSPFのLSAのタイプを答えよ。また、支店VのL3SW3にこのLSAが到達したとき、そのLSAを生成した機器は何か。図1中の機器名で答えよ。
G社は、本社とデータセンター及び二つの支店をもつ企業である。G社では、業務拡大による支店の追加が計画されている。支店の追加によるネットワーク構成の変更について、SD-WANを活用することで、設定作業を行いやすくするとともにWANの冗長化も行うという改善方針が示された。そこで、情報システム部のJさんが設計担当としてアサインされ、対応することになった。G社の現行ネットワーク構成を図1に示す。

〔現行ネットワーク概要〕
G社の現行ネットワーク概要を次に示す。
・G社には、データセンター、本社、支店V及び支店Wの四つの拠点がある。これらの拠点は、L社が提供する MPLS VPN(以下、L社 VPN という)を介して相互に接続している。
〔現行の経路制御概要〕
G社の現行の経路制御の概要を次に示す。
・拠点内は、OSPF によって経路制御を行っている。
・拠点間は、BGP4 によって経路制御を行っている。
・OSPF エリアは全てエリア 0 である。
・ルータ 1~4 で二つのルーティングプロトコル間におけるルーティングを可能にするために、経路情報の再配布をしている。このとき、一方のルーティングプロトコルで学習された経路がもう一方のルーティングプロトコルを介して再び同じルーティングプロトコルに渡されることのないように経路フィルターが設定されている。
・全拠点からインターネットへのHTTP/HTTPS通信ができるように、DMZのサブネットを宛先とする経路をOSPFで配布している。この経路情報は、途中BGP4を経由して、④3拠点のルータ及びL3SWに届く。
2024年度(令和6年度)春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰより引用・改変
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答え
タイプ: Type5 又は 外部 LSA
機器: ルータ 3
・出題のポイント
AS外はBGP4、AS内はOSPFを使ってルーティングしている場合に、BGP4を経由した経路設定がどのようになるかを問うています。
・BGP4とは
BGP(Border Gateway Protocol)は、インターネットの中核をなすルーティングプロトコルであり、異なる自律システム(AS: Autonomous System)間で経路情報を交換し、インターネット全体のルーティングを可能にするためのプロトコル です。BGP4はそのバージョン4です。
・OSPFとは
OSPF(Open Shortest Path First)とは、TCP/IPネットワークで広く使用されているAS内の通信経路を最適化するためのルーティングプロトコルの一つです。ルーター間でネットワークの構成情報を交換し、最短経路アルゴリズム(ダイクストラアルゴリズム)を用いて最適な経路を決定します。
・OSPFのLSAのタイプとは
OSPFのLSA(Link State Advertisement)とは、OSPFルータ(OSPFを実装したルータ)が自身のネットワーク構成情報や隣接ルータとの接続情報などを他のOSPFルータに通知するために使用するパケットです。このLSAには様々な種類があり、それぞれ異なる情報や役割を持っています。
- Type 1: Router LSA (ルータLSA)
- 各ルータ自身が生成し、自身の接続しているリンクの状態やコスト(メトリック)を同じエリア内の全てのOSPFルータにアドバタイズします。 エリア内のトポロジー情報を構築するための基本的な情報となります。 ルータIDと、ルータに接続された各インターフェースの情報(IPアドレス、サブネットマスク、接続先のネイバーなど)が含まれます。
- Type 2: Network LSA (ネットワークLSA)
- ブロードキャストネットワーク(イーサネットなど)において、代表ルータ(Designated Router、DR)が生成し、そのネットワークに接続している全てのOSPFルータのリストをアドバタイズします。
- DRは、各ルータ間でLSAをやり取りするのではなくDRとやり取りすることで、LSAの交換効率を高めるために選出される特別なルータのことです。
- ブロードキャストネットワークにおけるトポロジー情報を簡略化し、LSAのフラッディング(ネットワークの状態変化時に、変化を伝えるLSAがネットワーク内の全てのOSPFルータに一斉に伝播していくこと)を防ぐ役割があります。 DRのインターフェースIPアドレスと、そのネットワークに接続している全てのDR以外のルータのルータIDが含まれます。
- Type 3: Summary LSA (サマリーLSA)
- ABR(Area Border Router:エリア境界ルータ)が生成し、自身のエリア内のネットワーク情報を他のエリアにアドバタイズします。 エリア間のルーティングを可能にするための情報です。 他のエリア内の宛先ネットワークと、そのネットワークへのコストが含まれます。
- Type 4: ASBR Summary LSA (ASBRサマリーLSA)
- ABRが生成し、自身のエリア内の自律システム境界ルータ(Autonomous System Boundary Router、ASBR)の存在を他のエリアにアドバタイズします。 他のエリアのルータが、外部ASへの経路を提供しているASBRを見つけるために使用されます。 ASBRのルータIDと、そのASBRへのコストが含まれます。
- ASBRとは、OSPFルーティングプロトコルが動作するネットワーク(OSPFドメイン)と、他のルーティングプロトコルが動作するネットワーク(例えばBGP、RIPなど)や、異なる管理下の自律システム(AS)との境界に位置するルータのことです。通常、ASBRは同じAS内に存在します。
- Type 5: External LSA (外部LSA)
- ASBRが生成し、OSPFドメイン外部のネットワーク(例えば、他のルーティングプロトコルから再配布された経路や、スタティックルートなど)をOSPFドメイン全体にアドバタイズします。 OSPFドメインから外部ネットワークへのルーティングを可能にするための情報です。 外部ネットワークの宛先、マスク、メトリック、フォワーディングアドレスなどが含まれます。
・解の導出
「拠点VのL3SWにこの経路情報が届いたときのOSPFのLSAのタイプ」については、BGP4を経由して支店Vに到達します。つまり、外部のネットワークをアドバタイズする、「Type5 又は 外部LSA」が解答となります。
「支店VのL3SW3にこのLSAが到達したとき、そのLSAを生成した機器は何か」については、Type5 LSAを生成するのは、ASBR、すなわち、OSPFドメインと他のルーティングプロトコルが動作するネットワークとの境界に位置するルータですので、解答は「ルータ3」となります。
