ネットワークスペシャリスト2024午後Ⅰ問1-2-3

問題

 本文中の下線③の設定をすることで何を防いでいるか。“BGP”という字句を用いて10字以内で答えよ。

 D社は、ゲームソフトウェア開発会社で三つのゲーム(ゲームα、ゲームβ、ゲームγ)をダウンロード販売している。D社のゲームはいずれも利用者の操作するゲーム端末上で動作し、ゲームの進捗データやスコアはゲーム端末内に暗号化して保存される。D社のゲームは世界中に利用者がおり、ゲーム本体及びゲームのシナリオデータ(以下、両方をゲームファイルという)はインターネット経由で配信されている。

〔配信方式の見直し〕

 D 社は、ゲームファイルの大容量化と利用者のグローバル化に伴い、ゲームファイルの配信をコンテンツ配信ネットワーク(以下、CDNという)事業者のE社のサービスで行う ことにした。

 E社CDNは、多数のキャッシュサーバを設置する配信拠点(以下、POPという)を複数もち、その中から、ゲーム端末のインターネット上の所在地に対して最適なPOPを配信元としてコンテンツを配信する。

 あるPOPが端末からアクセスを受けると、POP内でLBがキャッシュサーバにアクセスを振り分ける。E社CDNのキャッシュサーバにコンテンツが存在しない場合は、D社データセンターの配信サーバからE社CDNのキャッシュサーバにコンテンツが同期される。

 配信方式の見直しプロジェクトはXさんが担当することになった。Xさんは、E社が提供しているBGP anycast方式のPOP選択方法を調査した。XさんがE社からヒアリングした内容は次のとおりである。

 E社BGP anycast方式では、同じアドレスブロックを同じAS番号を用いてシンガポールPOP及び東京POPの両方からBGPで経路広告する。シンガポールPOPと東京POPの間は直接接続されていない。ゲーム端末が接続するISPでは,E社ASの経路情報を複数の隣接したASから受信する。どの経路情報を採用するかはBGPの経路選択アルゴリズムで決定される。ゲーム端末からのHTTPSリクエストのパケットは,決定された経路で隣接のASに転送される。

 BGP anycast方式によるE社の経路広告イメージを図2に示す。

 図2でIXは、レイヤー2ネットワーク相互接続点であり、接続された隣接のAS同士がBGPで直接接続することができる。

 E社では、LP(LOCAL_PREF)属性とMED(MULTI_EXIT_DISC)属性が経路選択に影響を及ぼさないように設定している。これによってE社のあるPOPからゲーム端末へのトラフィックの経路は,そのPOPのBGPルータが受け取るAS Path長によって選択される。

 Xさんは、BGPのセキュリティ対策として何を行っているか、E社の担当者に確認した。E社BGPルータは、③隣接ASのBGPルータとMD5認証のための共通のパスワードを設定していると説明を受けた。また、アドレスブロックやAS番号を偽った不正な経路情報を受け取らないための経路フィルタリングを行っていると説明があった。

2024年度(令和6年度)春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰより引用・改変

↓↓答え↓↓

答え 不正なBGP接続

・出題ポイント

 「隣接ASのBGPルータとMD5認証のための共通のパスワードを設定」する目的を問う問題です。

・BGPとは

 BGP(Border Gateway Protocol)は、インターネットのルーティングプロトコルであり、自律システム(AS)間で経路情報を交換し、経路を決定するために設計されたルーティングプロトコルです。

 自律システム(AS)とは、同じ管理ポリシーに従ってルーティングされるIPアドレスの集合です。ISP(インターネットサービスプロバイダ)や企業などが管理するネットワークがASに該当します。

・隣接ASのBGPルータとMD5認証を行う理由

 隣接ASのBGPルータとMD5認証のための共通のパスワードを設定する主な理由は、不正なBGP接続を防ぎ、BGPセッションのセキュリティを強化するためです。

 BGPは、AS間で経路情報を交換する重要なプロトコルですが、デフォルトでは認証機能がありません。そのため、悪意のある攻撃者が偽のBGPメッセージを送り込んだり、正規のBGPメッセージを改ざんしたりすることで、ルートハイジャックなどの攻撃を行う可能性があります。

 MD5認証を設定することで、共通のパスワードを知っているルータのみがBGPセッションを確立できるようになります。これにより、第三者によるBGP接続のなりすましによる、不正なBGP接続を防ぎ、BGPセッションのセキュリティを向上させることができます。

 MD5認証は、BGPセッションの認証を行うための簡単な方法です。ピアとなるBGPルータ間で共通のパスワード(認証キー)を共有し、メッセージ認証コード (MAC) を用いてメッセージの正当性を検証します。

・解の導出

 解答は「不正なBGP接続」となります。

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