問題
本文中の下線⑨について、想定する障害を六つ挙げ、それぞれの障害発生箇所を答えよ。ただし、R12とR14についてはD社で障害試験実施済みとする。
[マルチホーム接続]
次に、EさんはD社閉域NWとのマルチホーム接続について検討した。A社本社に増設するルータ及び回線はD社からネットワークサービスとして提供される。マルチホーム接続の設計についてD社担当者から説明を受けた。
D社担当者から説明を受けたマルチホーム接続構成を図3に示す。

図3の概要は次のとおりである。
・本社とD社閉域NWとの間で、新たにR13と専用線がD社からネットワークサービスとして提供される。R11とR13とを併せてマルチホーム接続とする。
・増設する専用線の契約帯域幅は既設の専用線と同じにし、平常時は既設の専用線を利用し、障害発生時には増設する専用線を利用する。
・既存のR11とR12は、静的経路制御からBGPによる動的経路制御に変更する。
・R11とR12との間、R13とR14との間はeBGPで接続する。R11とR13との間はiBGPで接続し、あわせてnext-hop-self設定を行う。
・R11とR13との間ではVRRPを利用する。FW10はVRRPで定義する仮想IPアドレスをネクストホップとして静的経路設定を行う。
また、Eさんは、D社担当者から静的経路制御からBGPによる動的経路制御に構成変更する手順の説明を受けた。この時、BGPの導入を行った後にVRRPの導入を行う必要があるとの説明だった。Eさんが説明を受けた手順を表4に示す。

Eさんは、設計どおりにマルチホームによる可用性向上が実現できたかどうかを確認するための障害試験を行うことにし、⑨想定する障害の発生箇所と内容を障害一覧としてまとめた。
2023年度(令和5年度)春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱより引用・改変
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答え
①R11、②R13
③R11とR12とを接続する回線
④R13とR14とを接続する回線
⑤R11とL2SW10とを接続する回線
⑥R13とL2SW10とを接続する回線
解説
障害試験とは、システムやネットワークなどが、想定される障害が発生した場合に、正常に動作を継続できるか、または迅速に復旧できるかを確認するための試験です。
主に、信頼性設計を行っている場合に、その信頼性設計のために行っている冗長化構成が想定通りに動くか、すなわち、系統が複数ある場合に1系統でも残っていれば想定通りに動作を継続できるのかを確認することが障害試験の目的となります。
本問では、障害試験の目的として「マルチホームによる可用性向上が実現できたかどうかを確認するため」が挙げられています。
可用性向上のために次の2系統を用意しているので、障害試験ではそのいずれかに障害が起きることを想定することになります。
FW10 ⇔ L2SW10 ⇔ R11 ⇔ R12
FW10 ⇔ L2SW10 ⇔ R13 ⇔ R14
問題文には、「想定する障害を六つ挙げ、それぞれの障害発生箇所を答えよ。ただし、R12とR14についてはD社で障害試験実施済みとする。」とあるので、障害発生箇所を、R12やR14といった形で答えればよいことがわかります。
まず、R12(またはR14)と対になっていることから、R11(またはR13)が故障するケースが答えであることはわかります。このケースを確認するには、R11(またはR13)の電源を切ると確認できるでしょう。この障害試験を行うことで、R11(またはR13)が単独で故障した場合に、生き残ったもう1つの経路(R11が故障した場合はR13、R13が故障した場合はR11)で継続して通信が行えることを確認できます。
R11⇔R12間の配線(またはR13⇔R14間の配線)が断線してしまったり、機器から抜けてしったり、誰かが間違って抜いてしまうようなケースもあり得ます。このケースについては、R11⇔R12間の配線であれば、R11から配線を抜いてみて、R13側の配線で通信できている事が確認できれば、障害試験としてR11⇔R12間の配線に障害が起きたケースを確認できるでしょう。
残るは、R11⇔L2SW10間の配線(R13⇔L2SW10間の配線)となります。こちらも、R11⇔R12間の配線と同様の障害を想定して試験をすればよいでしょう。
よって解答は、「①R11、②R13、③R11とR12とを接続する回線、④R13とR14とを接続する回線、⑤R11とL2SW10とを接続する回線、⑥R13とL2SW10とを接続する回線」となります。
