問題
本文中の下線⑤について, next-hop-self 設定を行うと、iBGP で広告する経路情報のネクストホップの IP アドレスには何が設定されるか。15字以内で答えよ。
[マルチホーム接続]
次に、EさんはD社閉域NWとのマルチホーム接続について検討した。A社本社に増設するルータ及び回線はD社からネットワークサービスとして提供される。マルチホーム接続の設計についてD社担当者から説明を受けた。
D社担当者から説明を受けたマルチホーム接続構成を図3に示す。

図3の概要は次のとおりである。
・本社とD社閉域NWとの間で、新たにR13と専用線がD社からネットワークサービスとして提供される。R11とR13とを併せてマルチホーム接続とする。
・増設する専用線の契約帯域幅は既設の専用線と同じにし、平常時は既設の専用線を利用し、障害発生時には増設する専用線を利用する。
・既存のR11とR12は、静的経路制御からBGPによる動的経路制御に変更する。
・R11とR12との間、R13とR14との間はeBGPで接続する。⑤R11とR13との間はiBGPで接続し、あわせてnext-hop-self設定を行う。
・R11とR13との間ではVRRPを利用する。FW10はVRRPで定義する仮想IPアドレスをネクストホップとして静的経路設定を行う。
2023年度(令和5年度)春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱより引用・改変
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答え 自身のIPアドレス(広告元のルータのIPアドレス)
解説
BGP(Border Gateway Protocol)は、インターネットサービスプロバイダ(ISP)や大規模な企業ネットワークなどで利用されるプロトコルで、異なる自律システム(AS)間で経路情報を交換し、最適な経路を決定するために利用されます。
具体的には、BGPの機能が有効化されたルータの間で、経路情報を交換し、BGPテーブルを言うものを作成します。このBGPテーブルに収集された様々な属性を元に経路決定アルゴリズムに基づいて通信経路を決定します。
BGPには2種類存在し、AS内の通信経路情報を交換するものをiBGP(internal BGP)、AS間の通信経路情報を交換するものをeBGP(external BGP)といいます。iBGPでは、AS内の通信経路の決定のために経路情報を共有しますが、iBGPで収集された情報は、AS外には広告しません。一方で、eBGPではAS外、すなわちインターネット上での経路情報を共有しており、この情報はiBGP内へも広告されます。
BGPでは、経路情報を他のルータに広告する際に、その経路の「ネクストホップ」という情報を一緒に伝えます。ネクストホップとは、その経路へパケットを転送する際に、次にどのルータへ送れば良いかを示すIPアドレスのことです。
通常、iBGPで経路情報を広告する場合、ネクストホップは、その経路情報を最初に学習したルータのIPアドレスになります。しかし、この場合、広告を受け取ったルータが、ネクストホップのルータへ直接到達できるとは限りません。
例えば、AS内のルータに対して、AS外のルータからの経路情報の広告があった場合に、インターネットへ抜ける場所にあるルータと通信をしないとインターネットへ抜けれないネットワーク設計になっていた場合、インターネットに抜けられるルータ以外に、AS外のルータの経路情報を連絡しても通信することができず、その経路情報を無効なものとして扱うことになり、結果としてAS外のルータと、AS内の奥にあるルータの通信はできない状態になってしまいます。
そこで、「next-hop-self」設定を使用して、iBGPで広告する経路情報のネクストホップを、広告するルータ自身のIPアドレスに書き換えます。こうすると、広告を受け取ったルーターは、必ず広告元のルーターへパケットを転送できるようになります。AS内のインターネットに抜けられるルータを経由して、AS外のルータに抜けられるようになり、AS内の奥にあるルータもAS外になるルータと通信できるようになります。
まとめると、「next-hop-self」を設定することで、iBGPで広告する経路情報のネクストホップには、広告元のルータ自身のIPアドレスが設定されることになります。
よって解答は、「自身のIPアドレス(広告元のルータのIPアドレス)」となります。
