問題
本文中の下線⑥について、BGPの導入を行った後にVRRPの導入を行うべき理由を、R13が何らかの理由でVRRPマスターになったときのR13の経路情報の状態を想定し、50字以内で答えよ。
[マルチホーム接続]
次に、EさんはD社閉域NWとのマルチホーム接続について検討した。A社本社に増設するルータ及び回線はD社からネットワークサービスとして提供される。マルチホーム接続の設計についてD社担当者から説明を受けた。
D社担当者から説明を受けたマルチホーム接続構成を図3に示す。

図3の概要は次のとおりである。
・本社とD社閉域NWとの間で、新たにR13と専用線がD社からネットワークサービスとして提供される。R11とR13とを併せてマルチホーム接続とする。
・増設する専用線の契約帯域幅は既設の専用線と同じにし、平常時は既設の専用線を利用し、障害発生時には増設する専用線を利用する。
・既存のR11とR12は、静的経路制御からBGPによる動的経路制御に変更する。
・R11とR12との間、R13とR14との間はeBGPで接続する。R11とR13との間はiBGPで接続し、あわせてnext-hop-self設定を行う。
・R11とR13との間ではVRRPを利用する。FW10はVRRPで定義する仮想IPアドレスをネクストホップとして静的経路設定を行う。
また、Eさんは、D社担当者から静的経路制御からBGPによる動的経路制御に構成変更する手順の説明を受けた。この時、⑥BGPの導入を行った後にVRRPの導入を行う必要があるとの説明だった。Eさんが説明を受けた手順を表4に示す。

2023年度(令和5年度)春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱより引用・改変
・
・
・
・
・
・
答え VRRPマスターになったR13が経路情報を保持していないと受信したパケットを転送できないから
解説
BGP(Border Gateway Protocol)は、インターネットサービスプロバイダ(ISP)や大規模な企業ネットワークなどで利用されるプロトコルで、異なる自律システム(AS)間で経路情報を交換し、最適な経路を決定するために利用されます。
VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)は、仮想ルータを作成し、複数の物理ルータで冗長化するプロトコルです。これにより、1つのルーターが故障しても、他のルーターが引き継ぎ、通信を継続できます。VRRPでは、マスタ(主系)とバックアップ(副系)を設定しておき、物理ルータが故障して通信が切断されても、同じ仮想ルータの設定を使用してバックアップを動作させることで、他の通信機器の設定を変更することなく通信を継続することができ、ネットワークの可用性を高めることができます。
問題では、「BGPの導入を行った後にVRRPの導入を行うべき理由を、R13が何らかの理由でVRRPマスターになったときのR13の経路情報の状態を想定して答えよ」という問題です。言い換えると、「BGPの導入を行う前にVRRPの導入をした場合に、R13が何らかの理由でVRRPマスターになったときのR13の経路情報の状態に生じる問題とは何か」と言い換えることもできます。こちらの方が問題の意図をとらえやすいかと思います。
VRRPの解説にある通り、VRRPを最初に構成すると、通信を行うのはマスタの方の経路となります。本文の図3でいうところのR11⇔R12間の接続は、現存していてRGPを構成している経路であるため、ピアからの経路情報を収集を終えていて経路の選択が終わっている状態です。そこにVRRPの設定を行うことになります。
一方で、後から追加するR13⇔R14間の接続は、RGPを構成していないと、RGPに必要な経路情報が取得されないままになります。機器を追加した後も、R11⇔R12間がマスタ経路として稼働すると、バックアップ経路であるR13⇔R14間は、R11⇔R12間に問題が生じて切断されない限り通信しません。
そうなると、ルータR13はBGPに必要な経路情報を取得しないままとなってしまい、仮にR11⇔R12間に問題が生じて切断されて、VRRPによるバックアップへの切替が起きても、BGPの経路情報を持っていないために通信できないという事態になります。
よって、解答は「VRRPマスターになったR13が経路情報を保持していないと受信したパケットを転送できないから」となります。
